労働時間とは、労働者が使用者の指揮命令下に置かれている時間をいいます。
このような労働時間の定義からすると、仮眠時間であっても、労働者が、使用者の指揮命令下に置かれていた場合、
労働時間に当たります。
例えば、宿直業務で、仮眠時間であっても、仮眠室における待機、電話対応等が義務付けられている場合、労働時間
に当たり得ます。
仮眠時間が労働時間に当たる場合、使用者には、当該時間につき、労働者に対する賃金の支払義務、時間外割増賃金、
深夜割増賃金の支払義務が発生します。
そこで、使用者は、仮眠時間については、必要性がないのであれば、労働者の義務をなくしていくべきでしょう。
単に、就業規則等の規律により、仮眠時間における義務が規定されていないからといって安心はできません。
使用者におかれましては、仮眠時間が本当に休憩時間なのかどうかの実態を把握しておく必要があるでしょう。
自転車は、「軽車両」(道路交通法2条11号)に当たります。
自転車による事故は、交通事故に当たります。
そのため、自転車により、事故を起こした場合、法律上民事責任・刑事責任が発生します。
会社が、従業員に対し、業務・通勤で、自転車の使用を、
明示または黙示[注:黙認しているという意味]に認めている場合、
会社に思わぬ責任が発生します。
1 自転車事故も交通事故同様の損害が発生
まず、自転車による事故も交通事故であることから、自動車による事故と同様に、
治療費、通院交通費、休業損害、通院慰謝料、後遺症慰謝料、物損等の損害が発生します。
2 思わぬ高額慰謝料の発生
神戸地裁平成25年7月4日判決は、
当時小学5年生の男児が、当時62歳の女性に、自転車で正面衝突し、
同女性が、植物状態となった事案において、約9500万円の損害賠償責任を認めました。
自転車であっても、高スピードが出ることから、油断はできません。
3 自転車の場合、自動車に比して、保険の加入率が低い
自動車事故の場合、
自賠責保険が強制加入であり、また、任意保険の加入率が高いことから、
事故による損害は、填補されることが多いです。
これに対し、自転車事故の場合、
自賠責保険の加入がなく、任意保険の加入率が低いことから、
事故による損害は、自己負担となることがほとんどです。
そのため、会社が、従業員に対し、業務・通勤で、自転車の使用を認めている場合、
同従業員の自転車事故につき、会社が、
事故による損害を全額負担しなければならないケースも発生し得るでしょう。
先ほどの神戸地裁平成25年7月4日判決と同様、
会社が、約9500万円の損害を、保険の填補なしに負担する可能性も皆無ではありません。
会社が、このような多額の損害を全額負担しなければならないとすれば、
経営に対する影響もかなり大きいといえます。
あまり認識されていませんが、
自転車は、原則として、
歩道ではなく、車道の左側を通行しなければなりません(道路交通法17条1項本文、同条4項)。
自転車が、歩道を通行すること自体、違法なことが多いのです。
以上の点を踏まえると、会社は、従業員に、業務・通勤で、自転車の使用を認める場合、
会社の義務と責任、従業員の義務と責任、従業員の順守事項等を、明確に規定し、
従業員の規定違反による自転車事故で、会社が責任を問われないようにしておくべきでしょう。
自転車事故について疑問点がございましたら、お気軽にお問い合わせ下さい。
映画「男はつらいよ」シリーズは、ご承知のとおり、全48作ございます。
映画「男はつらいよ」シリーズのとある作品で、メンタルヘルス等に罹患したサラリーマンの青年が鉄道に横たわり、
自殺を図るシーンがあります。
その鉄道を走る汽車は、すんでのところで止まり、その青年の命は、助かるのでした。
その青年は、たまたまその汽車に乗り合わせた「寅さん」と、その日、居酒屋に行き、後日、一緒にドイツのウイーンへ旅立ちます。
その結果、その青年のメンタルヘルス等は、すっかり癒えることになるのでした。
詳しい展開は、どうぞ、映画「男はつらいよ寅次郎心の旅路」をご覧下さい。シリーズ唯一海外が舞台となる、意外性のある作品です。
この青年のように、メンタルヘルスは、昨今重大な労働問題となっております。
従業員がメンタルヘルスになれば、会社において、作業効率の低下、生産量の低下、従業員の休職ひいては自殺等の労務管理上のリスク、が発生します。
会社は、従業員がメンタルヘルスにならないよう、労働時間を調整し、適宜社内教育等を取り入れることも検討しなければならないと思います。
また、平成27年12月より、常時50人以上を使用する事業者につき、年1回のストレスチェックを行うこと、が義務化されました。
国も、メンタルヘルス問題を重視しているといえます。
映画監督山田洋次さんは、「男はつらいよ」シリーズを通して、「労働の尊さ」、を伝えようとしていたと思います。
若輩ながら、メンタルヘルス対策を通じて、
今一度「労働の尊さ」を認識できるような社会を作る一助になれれば、と思い業務に当たっております。
従業員のメンタルヘルス問題、ストレスチェックにつき、お気軽にお問合せ下さい。
1 運送業者、営業部がある会社、地方都市にある会社等では、従業員に対し、社用車の使用を認めたり、マイカー通勤を認めたりするケース
が多いです。
このような会社では、社用車の使用及びマイカー通勤が避けられなケースが多いです。
しかし、従業員に対し、社用車の使用及びマイカー通勤を認める場合、会社は、高いリスクを負うことを念頭に置かなければなりませ
ん。
2 労災
労災は、労働時間における社用車の使用はもちろん、通勤時にも発生します。
そのため、マイカー通勤中も一定の要件(通勤起因性・通行起因性)のもと、労災が認定されます。
3 保険の等級
会社が、従業員に社用車の使用を認める場合、ほとんどの場合、任意保険等に加入することと思います。
しかしながら、社用車の使用につき、規定を整備、指導等を怠っていると、思わぬ従業員の交通事故により、任意保険の等級に影響が生じ
ます。
4 交通事故そのものによる被害
昨今、交通事故紛争の専門家・複雑化が進んでいます。
当職の経験上、交通事故紛争で、後遺症の有無や程度に争いが生じた場合、基本的な医療文献(基本的な医療文献は事務所に置いてありま
す。)にあたることは不可欠で、場合によっては、医師の論文等専門的な文献にあたったり、精密検査を提案したりすることもあります。
また、交通事故そのものにより、治療費、付添費、交通費、装具器具購入費、休業損害、逸失利益、慰謝料等多岐に渡る損害が発生しま
す。重い後遺症が残った場合、総損害額は、何千万になるケースもあります。
5 まとめ
以上のとおり、従業員に対し、社用車の使用を認めたり、マイカー通勤を認めたりする場合、会社は、高いリスクを負っています。
当事務所では、使用者責任における求償権の判例法理等も意識した具体的な提案を用意しております。
お気軽にご相談下さい。
従業員の、会社の指揮命令下におかれない私生活上の行為は、個人の自由に関わる問題であるため、従業員の私生活上の行為に、非行があったとしても、原則として、会社は、当該従業員に懲戒処分を下すことができません。
そのため、会社の就業規則に、「従業員に私生活上の非行があった場合、会社は、当該従業員に対し、懲戒処分を下すことができる。」旨の規定があったとしても、直ちに、会社は、当該従業員に対し、懲戒処分を下すことはできません。
会社が、従業員の私生活上の行為に、非行があった場合に、懲戒処分(程度を含む。)を下すことができるかは、ケースバイケースです。
例えば、運送業等の勤務するドライバーが、私生活上飲酒運転をし、傷害事件を起こした場合、会社は、当該従業員を懲戒解雇しやすいといえます。
また、私生活上の犯罪行為に関しては、刑事手続上の結果も重要になります。不起訴処分になった場合や軽微な罰金刑に処された場合、直ちに、当該従業員を懲戒解雇することは難しいでしょう。
従業員の私生活上の行為が問題となった場合、安易な懲戒処分(程度を含む。)は、後々、裁判になると厄介ですので、是非ご相談下さい。
残業代・未払賃金のトラブル、解雇に関するトラブル、降格・配置転換・出向に関するトラブル、ライバルへの転職(競業避止義務違反)トラブル、企業の事故等のトラブル・・・
そのトラブル、会社に大きな不利益をもたらしてしまうかもしれません。
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