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  1. 社長が知っておきたい、法律問題を未然に防ぐヒント
  2. 休職後、退職するとの条件付きの退職届を提出したメンタルヘルスを主張する従業員に対する対応について
 

休職後、退職するとの条件付きの退職届を提出したメンタルヘルスを主張する従業員に対する対応について

2025/12/02
0 はじめに
  タイトルに関する問題に関しては、一見単純そうですが、複数の争点を含む意外に厄介な問題です。
  自身なりの解決策を述べさせて頂きます。※ 正解がないテーマと思料されるため、参考までに、ご
  確認下さい。
1 Q
  欠勤を繰り返す従業員が、メンタルヘルスに罹患し、●月間の療養を要する旨記載された診断書及び
 退職届を送付してきました。退職届には、●月間の休職後、退職する旨記載されています。復職するこ
 とが期待できない場合に復職を認める必要があるのでしょうか。
2 A
 ⑴ 休職制度
  ア 確かに、休職制度は、一般的に解雇を一定期間猶予し、解雇から従業員を守る制度だと説明され
   ることがあり、復職が期待できない以上、休職は与えないという措置も考えられます。
    他方で、休職は、法律上の制度ではなく、休職制度の設計・運用は、就業規則等の規定による以
   上、就業規則等の趣旨、規定等によっては、一概に、復職が期待できない以上、休職は与えないと
   考えることはできません。
    そこで、まずは、Qの事案を防止する可能性を高めたい場合には、就業規則等に、復職を前提と
   しない休職は認めない旨規定すべきだと思います。ただし、使用者都合(原因)による休職には注
   意が必要です。
  イ 休職の原因
    業務に起因する疾病なのか私傷病なのかで取り扱いが異なります。
    後者の場合、就業規則等で、休職の場合、無給とできても、前者の場合、危険負担により、使用
   者が、従業員の給与相当額を負担することになり兼ねません。
    そのため、Qの事案では、休職が、業務に起因する疾病なのか私傷病なのかを分析する必要があ
   ります。
 ⑵ 日本ヒューレット・パッカード事件(最判平成24年4月27日)(以下「本件事件」といいます。)の要旨
   精神疾患によって欠勤を継続している従業員に対し、欠勤に正当な理由なく無断でされたものとし
  て諭旨解雇した事案において、健康診断を実施するなどした上で、休職等の処分を検討し、その後の
  経過を見るなどの対応を採るべき旨言及し、諭旨退職を無効としました。本件事件は、普通解雇の事
  案でも参考になる旨言及する文献もあります。
 ⑶ Qの事案
   Qの事案は単なる退職届の提出ではありません。休職を条件とした退職届です。そのため、従業員
  において、休職が認められないのであれば、退職を撤回するという可能性があります。使用者におい
  ては、従業員の意思を慎重に判断する必要があります。
 ⑷ まとめ
  ・ 休職制度の有無、趣旨、内容等を確認しましょう。
  ・ 休職が業務に起因する疾病なのか私傷病なのか確認しましょう。
  ・ 休職を条件とした退職届であることを前提に慎重に対応しましょう。
  ・ メンタルヘルスの従業員に対しては、本件事件を踏まえ、慎重に対応しましょう。

                                            以 上
  
 

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