良い人材を確保したい等の理由で、定額残業手当の導入を検討している事業者も少なくないかと思います。
そこで、以下、定額残業手当を導入する場合の留意点を簡単に解説いたします。
まず、基本給等の一部又は手当が残業代に相当する賃金であることを明示し、それ以外の賃金と明確に区分されていなければなりません(明確区分性)(小里機材事件(最判昭和63.7.14))。
また、テックジャパン事件(最判平成24.3.8)は、月により時間外労働時間が大きく変動しているにも係わらず、基本給が増額されることがない場合、明確区分性を否定したことから、
定額残業手当と実際の時間外労働時間数に基づいて算出した額との間に、差額が発生した場合、労働者に対し、同差額を支払うことが重要になってきます。
さらに、95時間分の残業を前提とした定額残業手当が、安全配慮義務に違反し、公序良俗に反する恐れがあるとした裁判例(ザ・ウインザー・ホテルズインターナショナル事件(札幌高裁平成24.1.19))
があることから、定額残業手当に相当する時間外労働時間の設定が、長くならないように注意する必要があります。
以上の留意点等を外し、実際に訴訟等で、定額残業手当の有効性が否定された場合、残業代の算定の基礎となる額に、定額残業手当が含まれてしまうなど弊害が大きいので、
定額残業手当の導入を検討する事業者は、定額残業手当の社内規定を慎重に整備しなければならないでしょう。
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