自転車は、「軽車両」(道路交通法2条11号)に当たります。
自転車による事故は、交通事故に当たります。
そのため、自転車により、事故を起こした場合、法律上民事責任・刑事責任が発生します。
会社が、従業員に対し、業務・通勤で、自転車の使用を、
明示または黙示[注:黙認しているという意味]に認めている場合、
会社に思わぬ責任が発生します。
1 自転車事故も交通事故同様の損害が発生
まず、自転車による事故も交通事故であることから、自動車による事故と同様に、
治療費、通院交通費、休業損害、通院慰謝料、後遺症慰謝料、物損等の損害が発生します。
2 思わぬ高額慰謝料の発生
神戸地裁平成25年7月4日判決は、
当時小学5年生の男児が、当時62歳の女性に、自転車で正面衝突し、
同女性が、植物状態となった事案において、約9500万円の損害賠償責任を認めました。
自転車であっても、高スピードが出ることから、油断はできません。
3 自転車の場合、自動車に比して、保険の加入率が低い
自動車事故の場合、
自賠責保険が強制加入であり、また、任意保険の加入率が高いことから、
事故による損害は、填補されることが多いです。
これに対し、自転車事故の場合、
自賠責保険の加入がなく、任意保険の加入率が低いことから、
事故による損害は、自己負担となることがほとんどです。
そのため、会社が、従業員に対し、業務・通勤で、自転車の使用を認めている場合、
同従業員の自転車事故につき、会社が、
事故による損害を全額負担しなければならないケースも発生し得るでしょう。
先ほどの神戸地裁平成25年7月4日判決と同様、
会社が、約9500万円の損害を、保険の填補なしに負担する可能性も皆無ではありません。
会社が、このような多額の損害を全額負担しなければならないとすれば、
経営に対する影響もかなり大きいといえます。
あまり認識されていませんが、
自転車は、原則として、
歩道ではなく、車道の左側を通行しなければなりません(道路交通法17条1項本文、同条4項)。
自転車が、歩道を通行すること自体、違法なことが多いのです。
以上の点を踏まえると、会社は、従業員に、業務・通勤で、自転車の使用を認める場合、
会社の義務と責任、従業員の義務と責任、従業員の順守事項等を、明確に規定し、
従業員の規定違反による自転車事故で、会社が責任を問われないようにしておくべきでしょう。
自転車事故について疑問点がございましたら、お気軽にお問い合わせ下さい。
残業代・未払賃金のトラブル、解雇に関するトラブル、降格・配置転換・出向に関するトラブル、ライバルへの転職(競業避止義務違反)トラブル、企業の事故等のトラブル・・・
そのトラブル、会社に大きな不利益をもたらしてしまうかもしれません。
企業の労働問題に強い弁護士に相談しませんか。
※メール・お電話での法律相談は受け付けておりませんので、予めご了承下さいませ。
〒604-8162 京都市中京区烏丸通六角下る七観音町623 第11長谷ビル2階 [≫アクセス]
事前ご相談予約で、夜間・土日祝日も対応。
ネット予約は24時間受け付けております。