1 前提
フランチャイズ契約とは、
特定の商品・サービスの提供につき独占的権利を有する親企業
(以下「フランチャイザー」といいます。)が、加盟店(以下
「フランチャイジー」といいます。)に対し、フランチャイザ
ーのブランド等を使用して営業する権利等を与え、かつ、営業
等の指導もすることを約し、これに対し、フランチャイジーが
ロイヤリティを支払うことを約する契約をいいます。
フランチャイズ契約では、フランチャイジーは、フランチャ
イザーから独立した事業者であり、フランチャイザーと対等の
関係にあります。
2 某コンビニの従業員が労災事故で亡くなった事案で、従業員
の遺族と某コンビニ(フランチャイザー)との間に、和解が成
立した、というニュースがありました。
当該従業員と雇用関係にあるのは、フランチャイジーであっ
てフランチャイザーではないことから、当該従業員の遺族がフ
ランチャイザーに対し、法的責任を追及する根拠は、使用者責
任(民法715条1項)等であると思われます。
そこで、以下、実際にフランチャイズ契約において、フラン
チャイザーに使用者責任が発生するのか検討したいと思います。
3 使用者責任が、発生するには、
①被用者に一般不法行為責任があること
②ある事業につき
③使用者と被用者に実質的指揮監督関係があること
④②の事業の執行につき、
⑤第三者に損害を加えたこと
が要件となります。
この点、フランチャイズ契約では、フランチャイジーは、フ
ランチャイザーから独立した事業者であり、フランチャイザー
と対等の関係にあることからすると、フランチャイザーとフラ
ンチャイジー間に、上下関係は観念し難く、③使用者と被用者
に実質的指揮監督関係がある、とはいい難いと思われます。
また、④事業に執行とは、使用者の事業の範囲に属すること
が前提となります。使用者であるフランチャイザーは、フラン
チャイジーの営業等の指導を行う立場にあり、その立場を超え
て、フランチャイジーの労務管理につき指揮監督する立場にあ
るとは言い難いです。そのため、④事業に執行の要件も満たし
難いと思われます。
結論からすると、実際にフランチャイズ契約において、フラ
ンチャイザーに使用者責任は、発生し難いと思われます。
ただ、労働問題は、実質判断なので、フランチャイザーの労
災事故発生への寄与度、フランチャイザーの、フランチャイジ
ーにおける労働環境等の認識の程度によっては、フランチャイ
ザーに使用者責任が発生するケースもあるかと思います。
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