残業代問題・解雇問題・労働災害問題・使用者責任問題などの、「会社(使用者側)」の労働問題・労働者トラブルの解決をサポートする弁護士事務所です。
〒604-8162 京都市中京区烏丸通六角下る
七観音町623 第11長谷ビル2階

【受付時間】平日 10:00〜18:00

事前相談予約で夜間・土日祝日も対応

 

会社・使用者のための、法律問題に対する理解と対応策

今般、西村あさひ法律事務所に所属する弁護士が、同事務所に対し、無期雇用転換を求めた訴訟が話題となりました。同訴訟では、同弁護士の労働者性が問題となり、結果として、同弁護士の労働者性が否定されました。
そこで、労働者性に関し、見直しを行うべく、以下のとおり、まとめました。

1 労災保険法上の労働者は、労基法上の労働者と同一(最判平成8年11月28日)。
  労災保険法以外の労基法の附属法及び関連法上の労働者は、労基法上の労働者と同一とされます。
  労働契約法上の労働者は、労基法上の労働者と基本的に同一。
2 個別的労働関係における労働者性
  労基法上の労働者(労基法9条)とは、①労務提供の形態が指揮監督下の労働であり、②労務の対価としての報酬の受領
 があると評価できるか否か、により判断されます。
  判断要素としては、
 ⅰ)仕事の依頼、業務従事の指示等の諾否の自由
 ⅱ)業務遂行上の指揮監督
 ⅲ)勤務場所及び勤務時間に関する拘束性
 ⅳ)労務提供の代替性
 ⅴ)報酬の算定及び支払方法、があります。
  限界事例における判断を補強する要素として、
 ⅵ)事業者性
 ⅶ)専属性
 ⅷ)当事者の認識を推認させる事情
 があります。
  最判平成8年11月28日は、労働者性を否定しました。
  (同判例の事実関係)
  ・継続的運送契約は、書面ではなく、口頭。
  ・使用者の担当者から、同使用者の従業員ではないこと、運送途中での交通事故については、同使用者は、責任を負わない
   ので、任意保険に加入すること。
  ・運送品を破損させた場合、弁償させること。
  ・始業時間及び終業時間の定めなし。
  ・報酬は出来高制。
  ・トラックの購入代金、ガソリン代、修理費、高速代等は自己負担。
  ・源泉徴収、社会保険及び雇用保険の保険料の控除なし。
3 集団的労働関係における労働者性
  労働組合法上の労働者概念は、労基法上の労働者概念より広いです。
  判断要素としては、
 ①対象者の組織への組入れの有無
 ②使用者による契約内容の一方的決定
 ③報酬の労務対価性
 ④対象者が基本的に使用者からの個々の仕事の依頼に応ずべき関係にあったこと
 ⑤使用者の指揮命令下での労務提供、一定の時間的場所的拘束の存在
 ⑥独自に事業者としての活動を行うことの困難性
 があります。

労働者に能力不足がある場合、労働者の労働の提供には、不完全履行があります。
もっとも、同不完全履行があるからといって、直ちに、労働者を解雇することができる訳ではありません。
労働者を解雇する場合、解雇権濫用法理が適用され、客観的合理的理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合には、解雇は、その権利を濫用したものとして、無効となります(労契法16)。
では、労働者の能力不足を理由とする解雇は、具体的にどのような場合、認められるのでしょうか。

ブルームバーグ・エル・ピー事件(東京高判平成25年4月24日)は、就業規則の「社員の自己の職責を果たす能力もしくは能率が著しく低下しており改善の見込みがないと判断される場合」という解雇事由の解釈に関し、
① 「当該労働契約上、当該労働者に求められている職務能力の内容を検討した上で、当該職務能力の低下が、当該労働契約の継続を期待することができない程に重大なものであるか否か」
② 「使用者側が当該労働者に改善矯正を促し、努力反省の機会を与えたのに改善がされなかったか否か」
③ 「今後の指導による改善可能性の見込みの有無」
等の事情を総合考慮して決すべき、だと判示しました。同判事示は、具体的にどのような場合、労働者の能力不足を理由とする解雇が認められるかの参考になるものです。
※ 結論として、解雇は無効とされました。
また、セガ・エンタープライゼス事件(東京地決平成11年10月15日)は、就業規則の「労働能率が劣り、向上の見込みがない」という解雇事由の解釈につき、
「平均的な水準に達していないというだけでは不十分であり、著しく労働能率が劣り、しかも向上の見込みがないときでなければならないというべきである」と判示した上で、
対象となる労働者の人事評価が下位10%という点については、絶対評価ではなく相対評価であること、体系的な教育、指導を実施することで、労働能率の向上を図る余地があるというべきこと等を考慮し、
解雇を無効としました。
他方、日本ヒューレット・パッカード事件(東京高判平成25年3月21日)は、日本5年にわたる指導を行っても、全く改善が見られなかった事案において、解雇を有効としました。

労働者の能力不足を理由とする解雇については、職務内容、地位等が明確に特定されて中途採用された労働者(職種限定を超えるような立場で中途採用されたことが必要。)なのか、そうでないかにより、労働者の能力不足を理由とする解雇が認め易いかに関し、強弱があります。
前者の場合、同解雇は認められ易いといえます。
ドイツ証券事件(東京地判平成28年6月1日)は、上級の専門職として、特定の職種及び部門のために即戦力として、好待遇で中途採用された労働者の能力不足を理由とした解雇に関し、期待された能力を有していなかった場合には配転や手当の引き下げといった解雇回避措置をとらなくても、解雇は有効であるとしました。
因みに、ブルームバーグ・エル・ピー事件は、「労働者の採用選考上……格別の基準を設定したり、使用期間中……格別の審査・指導等の対応を行う等の措置は講じていないと認められること」から「社会通念上一般的に中途採用の記者職種限定の従業員に求められると想定される職務能力との対比において、……労働契約上、これを量的に越え又はこれと質的に異なる職務能力が求められているとまでは認められない。」としていることから、後者に当たると思料されます。セガ・エンタープライゼス事件も事案から後者に当たると思料されます。

以上からすると、労働者の能力不足を理由とする解雇を行う場合には、慎重な判断が必要になりますので、ご注意下さい。




ご予約・お問い合わせ

残業代・未払賃金のトラブル、解雇に関するトラブル、降格・配置転換・出向に関するトラブル、ライバルへの転職(競業避止義務違反)トラブル、企業の事故等のトラブル・・・

そのトラブル、会社に大きな不利益をもたらしてしまうかもしれません。

企業の労働問題に強い弁護士に相談しませんか。

※メール・お電話での法律相談は受け付けておりませんので、予めご了承下さいませ。




烏丸六角法律事務所

〒604-8162 京都市中京区烏丸通六角下る七観音町623 第11長谷ビル2階 [≫アクセス]


  • お電話でのご予約・お問い合わせはこちら
    ☎ 075-746-3920
    【受付時間】平日 10:00〜18:00(土日祝休)

    事前ご相談予約で、夜間・土日祝日も対応。

  • インターネットからのご予約・お問い合わせはこちら
    インターネットからのご予約・お問い合わせはこちら

    ネット予約は24時間受け付けております。